日本の美学:「幻想」夢・幻の文化誌


日本の美学 17号 特集幻想……夢・幻の文化誌
ぺりかん社 1991 223頁 A5判


そのものずばりの特集名に惹かれて購入しました。
内容は……少々期待はずれ。
「幻想」という言葉を使い慣れない人たちが、それらしいテーマでこぎれいにまとめましたよという感じ、全体としてどこか論点がぼけている気がします。
四谷怪談、能、来迎図といった観点もありきたりで、やっぱり目新しさがない。
おすすめはしませんが、こういう本もありますということで。
それでも高田衛の江戸幻想文学論と脇明子の鏡花論はさすがの安定感でした。


内容
高田衛「秋成に至る道程――江戸幻想論の試み」
川村邦光「他界の幻視 夢見の技法――他界遍歴のアルケオロジー
古井戸英夫「四谷怪談――夢の場」
今道友信(連載第1回)「日本の幻想――先史時代のヒストリア・アニマリスム」
佐藤康宏「事物と幻想――若冲を中心に」
脇明子「幻想の楽園を求めて――泉鏡花の楽園神話」
西村清和「悔恨の美学――夢幻能と追憶」
須藤弘敏「来迎の夢 影向の幻」
杉田英明「幻想の中洋――アラブ・ペルシア世界と日本」


高田衛脇明子の名前が出てきたのでそれぞれ参考までに
15号大江戸ファンタスティック
35号鏡花夢幻帖