アメリカ文学における怪異


アメリカ文学における怪異』神原達夫著 荒竹出版 1978
ブラウン、ナサニエル・ホーソーン、ポー、アンブローズ・ビアスヘンリー・ジェイムズの5人がのこした作品を分析し、怪異の意味を探ります。
本書で頻繁に使われる「怪異物語」という呼称はいわゆる「幻想文学」とほぼ置き換え可能でしょう。

未知なるもの、不可解なもの、隠れているもの――こうした暗闇的対象に魅せられる感受性が浪漫主義の基底をなすとすれば、浪漫的熱望が想像力という洞窟の中で反響し、反映して、異様で、まがまがしい音と光を放ちながら劇が展開されるのが、怪異物語であった。
(1章〈怪異物語の意味〉)