福武文庫の本 その1

福武文庫 1986〜1998
 福武書店ベネッセコーポレーションの旧社名。本業は教育事業にありとの判断を下し、2000年春頃に小説関係の出版事業から撤退した。翻訳に関しては、福武文庫でしか読めない作品が多数存在する。

『たるの中から生まれた話』シュトルム 矢川澄子訳 福武文庫 1990

 短編童話4つを収めた作品集。そのうちの2編「のろわれた鏡」と「ブーレマンの家」は怪談の傑作。
「のろわれた鏡」は殺された子どもと鏡にまつわる怪奇を描いた作品。隠された鏡の秘密とは?
けちな老人と怪しい猫とをめぐる怪談「ブーレマンの家」は、作者の持つ詩人としての感性が遺憾なく発揮され、より味わい深くなっている。
 作者のシュトルムは19世紀ドイツ・リアリズムを代表する詩人。他の著作では、複数の出版社から出ている『みずうみ』がもっとも簡単に手に入る。