創刊号:特集「アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ×ボナ」


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創刊号:特集「アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ×ボナ」
1979 9月  174頁 価格980円

入手はやや難。古書価4000〜8000円程度。5千部印刷。
創刊号に限らず、参号・4号・6号など初期の号で増刷されていないものは、総じて高く取引されているようです。


創刊号の内容はまだまだ試行錯誤の段階といったところ。
『ペヨトル興亡史』でも指摘されているように
1 奥付に今野裕一の名前がない。
2 「創刊号」または「1号」といった表記が欠落している。
3 寺山修司の原稿が間に合わず、目次に(番外)とだけ書かれている。
など、いくつかの不備が見られます。
巻末のマンディアルグ文献集は邦訳単行本だけでなく、刊行予定書、掲載雑誌、原著リストまでも載せており、極めて念入りな仕上がりです。


【巻頭より】
シュルレアリスム神秘主義、あるいはロマン主義は、既にその時代を終焉している。だが、終焉したのは表層的な事柄であり、今なお芸術の地底を脈々と流れている。「夜想」創刊にあたり、故瀧口修造氏が示唆されたように、現象を現在(いま)という地平において見つめることは大切だが、必ずしも名称にこだわる必要はないだろう。名称は応々にして唆別(ママ)の道具に堕する可能性が高い。「夜想」が取り上げる現象は現代に効力を持続させている存在である。過去から現代に渡る視座を獲得することで来るべき現象に対応することができよう。視座はむろん流動的で、何度も乗り超えられるべきものであるが、あまりに無視座な現況は解消されねばならない。
【「編集余白」より】
夜想」は夜の想いを昼の現実へと通底する一つの熱い想いである。「夜想」は来るべき時期に「夜想通信」に移行し、絵画、音楽、舞踏、映画、写真、美術、思想、文学などの従来分野として区別されていた現象を、分野として扱わず一つの存在として取り上げていきたい。

内容
小説とエッセイが中心です。
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
小説

曇った鏡 生田耕作
石の女 生田耕作
アディーヴ 細田直孝訳
エッセイ

メトロ・ミラージュ 鈴木啓二
エリュアール『くるしみの都』および『愛・詩』への序文 高村智訳
仮面 神谷真介訳

評論

マンディアルグ―鏡の中の光景― 篠田知和基
餘白 今野裕一
マンディアルグ三島由紀夫 利光哲夫
マンディアルグの一面 金子啓明
マンディアルグの魔術的磁場 石黒敦彦
マンディアルグの一つの特徴 南川雅信
寺山修司(番外)

ボナ・ド・マンディアルグ

エッセイ

ボナの素敵な冒険 瀧川葉子訳

評論
“オブジェ”であることを拒否しつづけた“第三の性” 宮迫千鶴
ボナの絵画の二つの影 アラン・ジュフロワ 赤坂真理

展覧会の絵 モーリス・ブランショ
かくして イタロ・カルヴィーノ
臓腑に目を晒すナイフ オクタビオ・パス


幻想美術館

主要文献