「国文学 解釈と教材の研究」より 3

現代文学・SFの衝撃」1982 8月号
この方面はさっぱりなんですが、あまりSFらしくないなあというのが率直な感想です。内容から察するに特集名は「幻想SF」としたほうが、幻想文学・SFファンの両者に意味が通じたのではないかと思います。
開口一番「私は必ずしもSF作品のよい読者とはいえない」と語る何とも居心地の悪そうな評論「SFをめぐる覚書」(澁澤龍彦)は、古典SFを考える上で重要。その他冨山太佳夫アーサー・C・クラークを、四方田犬彦石川淳を論じており、それぞれ興味深い論考となっています。


国文学系雑誌からの紹介はひとまず終了します。『解釈と教材の研究』にはまだ「江戸の怪奇・幻想空間」(92)、「怪談」(07)という気になる特集もあり、この2冊は手に入れたらすぐ取りあげる予定です。
内容
対談「現代文学はSFをめざす」井上ひさし/由良君美
SFの何が新しいか―SFと新事象(ノーヴム)― ダーコ・サヴィン 森田暁訳
現代SF・その主題と方法
エスノ・サイエンス・フィクション 村上陽一郎
現代SFにおける内宇宙の位相 秋山さと子
時空の乱反射 川本三郎
現代SFにおける幻想の叙事性 石川喬司
聖鼠のエントロピー 寺山修司


フィクションとして 現代マンガのSF空間 金井美恵子
SF映画は存在しない 蓮實重彦
SFをめぐる覚書 澁澤龍彦
SF・現代の古典
グイン|女性文明としての中世 山野浩一
レム|サイバテネティクスから文学へ 岡本俊弥
クラーク|神なき人間への愛 冨山太佳夫
ストルガツキー兄弟|現代のゴーゴリ 深見弾
バラード|反秩序の飛行体験 宇波彰
ヴォクト|科学から擬科学へ 中山茂
現代文学・そのSF的前衛
石川 淳 四方田犬彦
安部公房 山田和子
島尾敏雄 川又千秋
大江健三郎 ジョン・ボチャラリ
星 新一 栗坪良樹
小松左京 野坂幸弘
筒居康隆 助川徳
倉橋由美子 天野哲夫
井上ひさし 今村忠純
半村 良 柘植光彦


現代SF名作館 関井光男