文豪てのひら怪談

([ひ]1-1)文豪てのひら怪談 (ポプラ文庫)

([ひ]1-1)文豪てのひら怪談 (ポプラ文庫)

粒ぞろいの名品を味わえるだけでなく、前後の作品が相互に関連するなど配置にも行き届いた心遣いが感じられます。
作品全体を通して少し気になったのが、岡本綺堂中国怪奇小説集』からの採録が多かったこと。
作者は別でも訳文の調子は同じなので、多様な作家を収録するという趣旨からは若干外れているように思います。
志怪小説をはじめとする中国の怪奇短篇は無数に存在するわけですから、「文豪」怪談と銘打っている以上、日本人作家だけのアンソロジーにしてもよかったかと。
それと入手可能かどうかの目安として出典の刊行年を表記してほしいと感じました。

あえて難を申せばこんなところでしょうか。好きな本ほどけちをつけたくなりますね……悪い癖です。

中国怪奇小説集 新装版 (光文社文庫)

中国怪奇小説集 新装版 (光文社文庫)