フランス小話(2冊)

『フランス小話集』 田辺貞之助著 1955 高文社 (定価200円)
田辺貞之助には、フランス艶笑譚の著作が数多くあります。『フランス小話集』 はその中の1冊です。
「高文社」は「有信堂高文社」の旧社名?(住所が同じなのでたぶん……)
法律・政治・社会の分野の専門書とテキストを発行している出版社です。

『新フランス小話集』田辺貞之助著 1967 高文社 (定価200円)
やや複雑な経緯をたどった本です。
あとがきから
1,夏目悌介という友人
田辺貞之助宅に飄然と訪れ、いつのまにか仲良くなったとか。彼の話は「三面記事的雑報に終始」し、田辺貞之助は彼のことを「どうみても永久にうだつのあがりそうもないインテリ遊び人」と思っていました。
2,夏目悌介著『新フランス小話集』
あるとき『フランス小話集』を悌介に手渡して読ませたところ、彼は興味を持ったと見え、貞之助の書架から無断でフランスの漫画雑誌を持ち帰っていきました。
その後意気揚々と帰ってきた悌介の手には『新フランス小話集』(1957)と題された本が。貞之助は当然不快に思いましたが、訳文のこなれているところなどを見ると頭ごなしに叱りつけるのもよくないと感じ、かえって後継者の見つかったことを喜んで、その日は穏便にすませました。
3,新版『新フランス小話集』
その後ふっつりと消息の途絶えた夏目悌介でしたがある日、南米から手紙を送ってきました。
彼は富豪の娘と結婚し、お金にも不自由しないので、『新フランス小話集』の版権を貞之助に譲ろうと持ちかけてきたのです。
同じころ出版社も増版を考えていたようで、多少後ろ暗い気持ちはするものの、貞之助は誤植など細かい点を修正して、新しく
『新フランス小話集』を自分の名前で出しました。
これがあらましです。