幻想画家 その1 梅木英治

あんまり良くないことかもしれないけど、プロフィール画像はここからお借りしている。
『日本幻想文学集成』(国書刊行会)の絵を描いた人。
梅木英治の世界
http://www.bekkoame.ne.jp/~questco/u-index.html



『最後の楽園』梅木英治 国書刊行会
○不思議な形象と夢魂に満ちた梅木英治の世界の全貌。ノスタルジアとリリシズムとグロテスクの幻想画家、自作童話を含む初の画集!!(帯より)
●絵画の中で幻想的に描くことほどむずかしいものはないと常日頃おもっています。少々感ちがいをして、情緒的になったり少女趣味に陥ったりする場合が多い。
 梅木英治の最近の作品を見ると、目をみはるほどそれらを遠くに追いやって、彼独自の世界にどんどんのめり込んでいくようです。誰も入ることのできない、あのマニエル・ノワールの世界に……。(金子國義
●パセティックな死と没落の歌はこの画面のどこからも聞こえてこない。すべてが終わったのは自明であり、いまさら嘆くにも悲憤慷慨するにも及ばない。というより、こことあちら側とはまるで平行線のようにいつまでも接触せず、使者がたとえ全速力で自転車を漕いでもいっかなここへは到達しないとでもいうように、象のマドロスさんはのんびりと待ちながら、ゴドーを待つ二人連れのように、いつまでも終わらなかった夏休みの思い出をゆったりと反芻している。地上とは思い出ならずや。世界が終わった後に世界の思い出を語り続けるのが、梅木さんの望遠鏡的視線なのである。(種村季弘