日本情死考


『日本情死考』邦光史郎 三一書房 1968 定価350円

読み物としてはおもしろい。

裏表紙より
情死とか心中とかの言葉は、いつも複雑な意味を表現している。それは相愛の証であったり、愛欲のもつれであったり、邪恋の清算であったり、あるいは世をはかなんだ末の同情であったりで、実にいろいろである。だが一様に、その置かれた状況の悲劇性のゆえに、多くは、世人の涙をさそうこと事実である。とにかく情死は暗い時代の暗い事件である。
本書も、そういった陰湿な庶民の事件史を描くことによって、近代日本の発展の蔭にかくれた、暗い日本の百年をあからさまにしようと意図したものにほかならない。